外国人を被告とする裁判
2022/03/03

外国人による犯罪被害を受けたとして損害賠償請求を提訴し、確定判決を得て債権差押命令申立事件に着手しました。 <br>

この外国人は、住民票、登記上届出している会社代表者名、預金名義の日本語表記すべてばらばらでした。金融機関はローマ字表記等で検索しているとのことで、生年月日や住所等の情報と照合ができ、事なきで終わりましたが、外国人を被告とする場合には、注意が必要のようです。 <br>
 
「●●こと●●」のように知りうる日本語名はすべて表記の上、判決を得たほうが安心です。

これは,弁護過誤では・・・
2018/07/17

3年以上の時間を要し終結を迎えた事件がありました。当初から相手方弁護士が然るべき対応をしていれば,そもそも訴訟案件にならず,相手方は多額の和解金を支払う必要はなかった事案と思います。第一審でこちら側の全面勝訴,控訴でもそれが覆る見込みはなく,和解で終結した事案です。

取引先の会社と代表者個人が破産手続きに着手されたとの依頼がありました。よくある泣き寝入り事案と違っていたのは,この破産会社代表者(以下,「代表者」と言います。)が,自社の協力会の預貯金を,破産手続き着手直前に1300万円以上引き出し返済に充てていたことです。

訴訟提起前に,この代表者に内容証明郵便にて請求し,そこには代理人に相談して下さいとも付記しました。ここで代理人が出てきて交渉してくれれば,依頼者らを納得させて訴訟提起まではしなかったでしょう。破産するような代表者はいわゆる無資力状態であり,債権回収が困難だからです。この時点であれば相手方は,和解金50万円で済みましたね。
代理人は,会社の破産手続きにおいて,この協力会に対する債務として安全協力金名目で数万円を債権届出していましたが,内容証明にて請求した債権額については,会社や個人の手続きでも債権届出しませんでした。

破産の終結を待って,代表者に対し1300万円の返還請求事件を提起しました。

訴訟中も相手方代理人は,債権届出がないにもかかわらず,既に免責されているとか,横領行為が破産手続きで免責されるかという条文解釈,協力会には訴訟能力がない,権利能力なき社団でもない等的外れの主張をしてきました。権利能力なき社団性を認めないなら,民法の組合で処理するはずですが,民法の組合では相容れない代表者が出てくるという論理破綻した主張もしていました。

やはり依頼者の一番の関心事は,この横領金が何に使われたのかということです。それにもかかわらず,「横領金は,下請け先に支払ったが資料は残っていない」「支払先もわからない」と主張し続け,誠に不誠実な訴訟追行でした。

さらに,相手方代理人は,条文解釈や類似判例の引用に固執し,大量の破産法の教科書や判例のコピーを証拠として提出してきました。引用した判例は,故意犯である今回の横領行為と事案の性質も異なる交通事故の判例など3件でした。当方で,その判例について丁寧な解釈をしたものの,こちらの準備書面を全く読んでもいないと思われ,反応がありませんでした。

相手方代理人の大きな過ちは,内容証明郵便を無視したことよりも,この横領金を代表者個人の破産手続で破産債権届出をしなかったことと思います。訴訟中,相手方代理人は,協力会から債権届出をすべきだと主張していました。

破産係属中にこちらの内容証明郵便は代表者に到着していたのですから,この時点で債権届出をしていれば,おそらくこちらが敗訴していた可能性もあったと思います。そもそも破産手続きには,破産者の更生という側面が大きいからです。
破産者に対し提起した本件事案は,幸いであるか,相手方代理人の訴訟追行の失態が,こちらに全面勝訴をもたらしてしまいました。 高裁の和解手続の中で,これは弁護過誤と思うから,無資力の破産者の請求なので代理人に対し債権者代位訴訟をすると言ったため,裁判所は控訴人の説得に必死でした。

地獄の沙汰も金次第?
2017/04/19

今期は、相続財産管理人選任申立事件に2件携わりました。
亡くなった方に相続人がいない場合、この相続財産は法人となり(民法951条)、相続財産管理人が選任されることになります(民法952条)。

1件目の申立てのケースは、相続財産が9ケタに届くような金額のもので、申立て後まもなくに、相続財産管理人が選任されました。
ところが、2件目の申立てのケースは、相続財産は不動産(おもに田畑)と預貯金総額約300万円で、相続財産管理人は、3か月経過してもなかなか選任されない事態となっていました。

この差は何でしょう。相続財産管理人(概ね弁護士が選任される。)もボランティアではありませんので、報酬が発生します。これは相続財産に基づき算出されますので、相続財産が多額であれば報酬も高額になっていきます。相続財産が少ないと、引き受け手がなかなか見つからないとも考えられます。
(2件目を受任していただいた先生に感謝です。)

また、相続財産管理人選任申立てをする方は、被相続人と緊密な関係にあり、特別縁故者として財産分与を求める(民法958条の3)ケースが多いです。
特別縁故者にあたるのか、これは「裁判所の裁量」ですので、これまでの財産分与の決定を見ても、明確な基準はありません。同居していた内縁の妻や夫は特別縁故者と認められやすいと思いますが、隣近所に住んでいて、幼少時から行き来をしていた親せきというだけでは、簡単に特別縁故者とは認めてくれません。幼少時からの一緒に撮った写真があって緊密な関係が証明できたり、被相続人に子供や親兄弟がいない代わりに、自分が被相続人にやってきたことを証明できるかが重要のように思います。
ちなみに、特別縁故者への財産分与が認められない場合、遺産は国庫へ帰属します。国家財政はひっ迫状態ですから、簡単には特別縁故者への財産分与を認めず、国庫に帰属させられていくことも予想されます。なにしろ「裁判所の裁量」で決まるのですから。

相続人がおられず、死後に回りの方に迷惑をかけたくない方や、遺産が国庫に帰属してしまうのであれば、懇意にしている人や団体に寄付したほうがいいとお考えの方は、遺言を作成すべきですね。

HITACHI integral-F
2016/11/22

表題は、当事務所のビジネスフォンの型番です。
先日、千葉地方検察庁から、特定の番号をかけると常に話し中になっているとご連絡いただきました。代表番号は2回線で受けますので、事務所の規模から2回線が常に話し中になるとは考えにくいことです。そこで、電話機を確認したところ、地検の番号が着信拒否されていました。

早々に分厚いマニュアルにて着信拒否解除の仕方を調べましたが、これがわかりません。日立のHPを見ても、簡易な操作マニュアルしか掲載がなく、操作方法は販売店までお問い合わせ下さいとのこと。やむなく、販売店に連絡を入れ、こちらは電話の保守契約をしていないものですから、着信拒否解除ごときでサービスマンに来られては大変と思い、解除がわかるマニュアルの頁を教えくれればいいからと、念を押して伝えました。

ところが2時間ほど待っても連絡は来ません。待ちきれずに、インターネット上で「HITACHI integral-F 着信拒否 解除」と入力しました。検索結果を見ると、この解除で悩んでいる方が多く、yahoo掲示板で質問されていても、これを正確に回答しているものがありませんでした。そうこうしているうち、販売店から電話があり、解除方法が複雑なので、サービスマンが来てくれると言うのです。

そこで、インターネット上でもお悩みの方が多かったようですので、教示された操作方法をお知らせします。

決定→5システム機能設定→決定→8番号識別機能→決定→1着信拒否番号→決定→決定ボタンの上の矢印を操作し着信拒否されている番号をさがす。→当該番号が出たら→決定→3消去→決定  

子宮頸がんワクチン接種被害の相談
2016/11/16

知人の会社社長の姪御さんが、1か月前に子宮がん検診の結果が陽性と出たことで、東総方面の大病院で子宮頸がん予防ワクチンを投与され、意識不明になった後、失神やけいれんを繰り返し、今も手足のしびれ等で悩んでいると相談に来ました。

確か、かなり前のテレビ番組で、子宮頚がんワクチンの後遺症で悩んでいる少女が特集されていて、厚生労働省はこのワクチン接種の推奨を中止していたと記憶していました。厚生労働省のホームページにも、わかりやすく投与の中止勧告について掲載しています。
また、姪御さんの年齢は39歳ですから、ワクチン投与の効果が期待できる適齢でもありませんし、そもそもがんの陽性結果が出た人に予防ワクチン投与というのは、素人目からは不可解な対応です。

相談者の一方的な話になりますが、投与時にワクチンの副作用について説明を受けていない、副作用の症状が出ている間に医師は診察や処置をしてくれなかった、ワクチン投与した医師は病院内にいたのに出張中といって話を聞いてくれなかったとのことです。
陽性の結果が出て、その日にワクチンの投与を勧められ、接種したとのことですので、確かに副作用の弊害を熟慮する時間はなかったでしょうね。そもそも、医師が39歳の女性にこのワクチンを投与した事態が重過失の医療行為ではないかと疑いを抱いてしまいます。

相談者が、ワクチン投与した医師や上司の医師らに苦情を申し入れた際、裁判沙汰をほのめかしたところ、若い医師から「(裁判を)やれるならやってみろ」「私たちは守られているから」と言われたというのです。まさか、医師がそんなことを言うのかなと考えてみたのですが、これを言われてもおかしくないんですね。

国公立の医師は、個人経営の医師と異なり公務員です。公務員個人に対しては、不法行為責任は問われない(国家賠償法1条)ため、被害者は、国もしくは市町村に対する国家賠償責任を追及するしかないのです(事実上、国から公務員に対する求償も制限されるであろうから、公務員個人は無答責)。これを医師が知っていたのであれば、上記のような暴言を吐くことも想定できてしまうのです。

相談者は、既に千葉県健康福祉部や厚生労働省健康局やPMDAという機関に対し相談中とのことです。副作用発生後の医師の対応があまりにも不誠実で、被害者側の怒りを助長させてしまっているようです。
当事務所は、医師に対しては民事による責任追及はできないから刑事しかないと、重過失致傷罪の被害届を出してはと助言しました。弁護士、医師と僧侶は聖職と言われているのですが、聖職という言葉も死語になるような忌まわしい事件です。
(本件相談内容は、相談者様からHP掲載の承諾を得ています。)

弁護士会のクレサラ相談
2016/11/15

伊藤安兼弁護士が、今年の弁護士会のクレサラ相談(クレジットとサラ金の相談、いわゆる借金問題の相談です。)の登録をしようとしたところ、講習を受けていないから、登録できないと連絡がありました。長年、講習を受けることは義務付けされていなかったのですが、やはり弁護士が多くなり、相談の質を向上(維持?)させることになったのでしょう。

伊藤弁護士は、私が当事務所に入所した14年前から、商工ローン相手の訴訟や破産事件を多く抱えていました。闇金融の人が事務所に来て怒鳴ったり、嫌がらせで注文していない10人前のピザが届いたこともありました。当時は、弁護士の数も少なく、特に債務整理の事件はお金にならないと受任しない弁護士が多かったのです。

CMでお馴染みの過払金も、今では弁護士がサラ金に通知を出せば、簡単に取引履歴計算書を出してくれますが、以前は、取引履歴の全部開示しないことも多く、貸付と返済のシュミレーション計算書を作成して過払金返還訴訟を提起していたのです。
また、商工ファンドを脆弱化したのは、伊藤弁護士らや多くの志を同じくする弁護士らが弁護団を組み、従業員の残業代不払いの訴訟提起をしたことが契機だったと、当事務所は今でも誇りに思っています。

講習内容が、これまで商工ローン訴訟に貢献した弁護士らに聞かせるに値する内容であれば納得しますが、その内容を推し量っても仕方ないことですので、講習を聞いてまで、弁護士会のクレサラ相談を担当する必要はないと判断したようです。

弁護士会主催の法律相談に定年制を設けようという噂もあります。若い弁護士の仕事を確保することは大切なことですが、弁護士を増員したことで自由競争原理は働いていしまうのですから、それを無くすような働きかけは、自由がなくなると同じではないですか。

著:齋藤

熊本地震の被害に遭われた方へ
2016/04/25

この度の熊本地震により,被災された皆様ならびにその家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

献体手続き
2016/02/02

献体手続の同意書作成の依頼です。

献体とは、死亡後に、自己の遺体を医学部に解剖用として遺贈することです。
最近、テレビでも見ましたが、献体をする方が増えているようですね。
実は、昨年、これとは別件ですが、献体をしたという依頼者から、献体入会の証明書を見せていただきました。

大学病院によって、献体の手続きは異なるようで、今回は、推定相続人の他、生存している父母、兄弟姉妹全員の同意が必要となっています。離婚した妻との間にいる子どもの同意が必要ということで、今回の依頼となりました。前妻は医療従事者であったことから、献体もよく理解されており、無事に同意していただけました。
なお、先の依頼者の話では、K大学では、本人の申し込みだけで済むとのことで、大学病院によって献体する要件は様々のようです。

最近、遺言書作成の相談に乗った相談者が、事前に作成したという遺言書に「献体」を希望することが書かれていました。ご自分が医学部の学生の時に、6人一組で解剖をすることになったが、一体足りなかったという昔の思い出があるとお話されていました。

残された家族に迷惑をかけないという思いや、死亡後も社会貢献に努めようとする意思を見せられ、いろいろと考えさせられました。

あけましておめでとうございます。
2016/01/01

地球温暖化とテロから人類の危機が迫っています。自由・平等・博愛を旗印にフランス革命が成功し、その後、フランスでは能力次第で大学まで無料となる徹底した機会の平等が保障されたものの、経済活動の自由から、富の集中と貧困(格差)が拡大し、これがテロの原因と言われています。
またCOP21で、世界の国々が、二酸化炭素排出制限で議論を展開したものの地球温暖化と海面上昇は避けられないようです。
際限ない人間の欲望が諸悪の根源と分かっても、神でない愚かな人間は、謙虚になれず、このままでは、人間の未来は絶望的です。
ところで、六千年前、海面は今より五m高く、東京湾は、埼玉県まで広がっていたそうですから、産業革命後、百年間で少々海面が高くなっても、地球の歴史から見れば止むを得ないことかもしれません。
しかし、格差拡大から宗教に名を借りたテロは、世界戦争に「発展」しかねませんから、日本は安全だ、などと安閑に構えていると、取り返しがつかなくなるかもしれません。視野を世界に広げ、可能なことをすべき時が来ていると考えます。
二〇一六年元旦   
  やすかね法律事務所 弁護士 伊 藤 安 兼

あけましておめでとうございます。
2016/01/01

行政書士齋藤です。
年賀状の公約通り,本年は「事務所だより」の更新を頑張ります。

私事,昨年12月,特定行政書士法定研修を修了しました。「修了」という言葉から,研修を受講すれば付与されるものと考えておりましたが,これが大きな間違いでした。考査1週間前,確認テストが不合格と判定され,残り1週間は受験時代並みに復習に励みました。

正直,私の仕事に直結する資格なのか懐疑的ですが,現場では疎遠になってしまう行政三法を改めて習得できたこと,また,これまで弁護士に要件事実を叩きこまれ,今後は自分自身でこれらを生かし手続きに関与できることに期待しています。

来る1月22日(金)午後1時30分から,千葉市中央区役所にて,行政書士会千葉支部主催の市民相談を担当します。後見制度や遺言等で,ご相談がありましたら,是非,お越しください。

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